Art EXPOパブリックアート

国や地域、民族など、多様なバックグラウンドを持つ国際的なアーティストによるパブリックアートを会場の各所に展示します。来場者に文化の彩りと潤いを与えるとともに、会場の随所で展開される世界各国の芸術作品を通して、来場者相互の対話と交流を図ることを目指します。
パブリックアートは会期中いつでもお楽しみいただけるものとして、21作品を展示しています。

提供:Subfossil Oak s.r.o.

Forest of Civilizations(文明の森)
作者:Subfossil Oak s.r.o.

「文明の森」は、世界でも珍しい樹齢6500年のオークの亜化石で作られた森を舞台にした古代の森のインスタレーションで、2025年日本国際博覧会の参加国1カ国ごとに1本ずつ捧げられます。130本以上の希少な樹木が展示され、この種の展示会としては史上最大となります。

提供:Study:大阪関西国際芸術祭2025

水心
作者:ミヤケマイ

大阪は水がものを運び様々なものが行き交うことで栄えてきました。瑞穂の国、日本では古来の信仰や考え方の根底に、海の向こうから良いものがやってくるという文化があります。大阪といえば蛸、タコの八本足は日本では八は末広といって幸先がいいという意味を表します。また八方良しー全方位に良きことがあるようーまさに訪れる方々、大阪に幸多かれという思いで、タコとその素敵な棲家である大阪を表現しています。大阪港に隣接する場所なのでステンドグラスで水のきらめきを感じる作品となっています。建造物の構造を利用して、日光が当たると海の生き物が大阪湾の網にかかったように見えるようになってます。天候や太陽の位置によって見え方が変わり、隣接した公園のベンチからもそれぞれ違った景色が切り取られるように計算されています。

anima harmonizer
作者:ハシグチリンタロウ

anima harmonizerは「たましいを調和し、奏でる者」という意味を込めた造語であり、空想上の、未知のテクノロジーによる「塗料から生まれた生き物のような巨大な音響装置」の名前です。それを表すにあたり、象形文字の前の段階として「生起文字」「しるし生命体」と言う考えを設定しました。それは単純かつ反復性を持った方法でありながら、文字のように固定した形を持たない表記によって生み出されます。巨大な音響装置からは、「見えない音を見えるために生み出された”文字”」が発生します。一音一音が、生き物のような身体的な姿として現れ、互いに繋がり、空間で振動します。文字を媒介にして飛び出すメッセージが空間にエネルギーを生み出します。

WORLD EXPO 2025
作者:COOK

本作品は、コンセプトを万博にしています。デザインの中にある虹はSDGsを表現していて、キャラクターの色が全部違うのは、人種をイメージしています。真ん中にミャクミャクが居て世界の人達と仲良くして、世界が平和になるイメージでデザインされています。生えている花は色々な国の花を描いています。それによってくる蝶を描き、美しい未来をイメージしています。WORLD EXPO 2025と入れたことによって、一目で万博のデザインだと分かるようにしています。

Cycloid III
作者:森万里子

サイクロイドとは円がある規則のもとで回転するときに描く軌跡の総称で、特に外サイクロイドの作る、外部に増殖していくかのような形を作品に取り入れています。複雑で繊細な形が絡み合って広がっていくアルミニウム製の彫刻作品は、パールのように輝く塗料で覆われており、永遠の回転を感じさせる躍動感にあふれています。「宇宙は誕生や消滅を繰り返し、始まりもなければ終わりもない、またパラレルに空間が存在する可能性すらある」という概念は、メビウスの輪のような形状を持つ作品として可視化されました。

森の道-青い森
作者:田﨑飛鳥(株式会社ヘラルボニー)

作者である田﨑飛鳥氏は父の勧めで絵を描き始めました。東日本大震災で被災し、家と200点に及ぶ作品を失いました。身近な人々の死にも精神的なショックを受けてしばらく制作から遠のいていたが、変わっていく街の様子に向き合い制作を再開しました。
《森の道ー青い森》に見られる鮮やかな色使いについて、田﨑氏自身は「色は心が聞いている」と言っています。
宮沢賢治の『虔十公園林』の杉林のように、直立する樹々の深い緑の間を爽やかで涼やかな風が駆け抜けるようです。

INTER-WORLD/Cocooner: Apparent motion of celestial bodies
作者:奥中章人

奥中章人氏の作品は、空気・水・太陽の関わり合いによって生まれる地球環境に起こる現象を増幅させる柔らかい彫刻です。作者は「人は空気や水や太陽に似ている」と考え、作品を通して私たちと世界との関係性を視覚的・体感的に提示します。
作品名「Cocooner」は俗語で、繭に引きこもる人を連想させます。社会に暗雲が漂う中、奥中氏は人類全体が人新世という人の業が生み出した繭に囚われているのではないかと問いかけます。
旧態依然とした人間中心主義の繭から脱皮し、より宇宙的な必要存在として人が羽ばたくことを願う作者の思いが込められています。

HIWADROME: type_ark_spec2
作者:檜皮一彦

作者は、身体性をテーマに、映像作品やパフォーマンス、自身も移動に用いる車いすを素材にしたインスタレーション作品《HIWADROME》シリーズをファーストラインとして展開しています。

DIVING to sky water
作者:中島 麦

水から生まれ、空に還る。
筆を使わずに描かれた重力と物質によるペインティング、天候や風など万博会場の空気も作品の中に取り込んでいます。
眼に見えない循環を、色彩で可視化できれば嬉しいです。

Hard Boiled Daydream (Sculpture/Spook/Osaka)
作者:金氏徹平

身の回りの物を既存のスケール、価値、意味や用途から解放し繋ぎあわせることを作品化しています。マンガやイラストなど本来は小さく、架空のイメージが大きく引き伸ばされ、物質と結び付けられることで全く新たな印象を作り出し、また、それぞれが一つの作品の中に織り込まれることで、新たな物語を紡いでいき、二次元と三次元、フィクションと現実、プライベートとパブリック、過去と現在と未来を往還する空間を創出します。

希望の系譜
作者:BAKIBAKI

1970年に出版された「奇想の系譜」にて、前衛画家として再評価された歌川国芳。彼の「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」を元絵にした本作品は、伝統的な和柄をサブカルチャーと融合させたBAKI柄と結び付け、大阪湾を臨む夢洲に描かれました。ミューラル (壁画) が根付き難かった日本の風土ですが、大阪を中心に変わりつつあります。浮世絵から漫画、そして席画から壁画へ。大衆芸術を起点に開国前夜の原石を改めて磨く事で、世界に異彩を放つでしょう。先人達から賜った希望が、万国の来場者との文化交流になることを祈願して。

Love Stone Project EXPO 2025
作者:冨長敦也

ハートをイメージする石の彫刻を5つ配置。5つの石は世界の五大陸(アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・アジア・オセアニア)から掘り出された石を使用します。それらの石をひとつの空間に配置することで、地球はひとつであることを意味します。その石を万博に訪れる世界中の人たちが一緒になり磨くことで国や文化を超えた人類の普遍的な願いである「愛」と「平和」を表現したいと思います。世界中の人が力を合わせて磨いた石は永遠に輝き続け未来へのEXPO2025の記憶となります。

海の記憶:喜界島 サンゴの方舟
作者:SceNEプロジェクト(地球研)

サンゴ礁が隆起してできた奇跡の島・喜界島。サンゴの化石は地球環境の変化を記憶しています。喜界島の巨大なサンゴ石をくり抜いて作られた伝統的な芋洗い鉢、トーニ/フムラーと全集落のサンゴ石を重ねたサウンド&ビジュアルインスタレーション。喜界島の「今」をリアルタイム音声と映像で会場につなぎ、島の息吹を感じる空間を生み出します。来場者はQRコードをスマートフォンで読み取り、島のライブ映像と海水温度のリアルタイム変化や過去からの推移を視覚的に確認できます。触覚・聴覚・視覚の体験を通じて、気候変動や環境問題を身近に感じ、地域と世界を繋ぐ共感の輪を広げることを目指します。

私が消える場所 ─ 現実の境界に映るもの
作者:DONECY

この彫刻作品は、「見る」という行為の本質を問い直し、鑑賞者自身を現実と虚構の境界へと誘います。遠目には形がはっきりと認識できるのに、近づいたとたん、鏡面に映る自分自身へ視線が奪われ、彫刻の姿が視界から消えてしまう──これは、私たちが「現実」と呼ぶものが、主観的な解釈によって成り立っていることを示しています。さらに、この作品は光や環境を取り込み、場所や時間とともにその表情を変えていきます。一筆書きで描ける親しみやすいアウトラインの中に「存在」の深淵を宿し、私たちの視点に静かに問いかけます。──あなたが見ているものは、何ですか?

提供:N&A ART for EXPO 2025

WORMHOLE
作者:国松 希根太

木は長い年月をかけてその土地の歴史や時代を見つめてきた証人です。雨竜研究林(北海道大学)に生えていたミズナラの巨木には、苔などの異なる種の植物も共生しており世代を更新しています。その姿は今を生きる私たちにも学びを与えるでしょう。「WORMHOLE」はブラックホールなど時空を越えた場所との繋がりを意味しています。

Prayer Vessel
作者:奈良 祐希

陶芸家であり建築家でもある奈良祐希氏は、陶芸と建築の融合による新たな藝術の可能性を追求しています。奈良氏は石川県金沢市に生まれました。2024年に甚大な被害をもたらした能登半島地震の復興への祈りを込めて、「手と手を合わせる」、「地球」を想起させるアート作品です。

People 14.
作者:ジュリアン・オピー

作者は街を歩く見知らぬ人々をモデルに、シンプルでありながら細部を見事に捉えた表現言語を用いることで、生き生きとした都市の風景を描き出しています。LEDディスプレイをアートの媒体として選ぶことで、作品は都市を映し出す鏡のように機能し、行き交う人々をモニュメントに変えています。

Bloom Paradise. Flower of Hope
作者:ジュン・T・ライ

まるで大きな蓮の花が咲いているかのような本作品は、「生命の創造」と「生命の再生」を象徴しています。本作品は、色とりどりの花びらで構成されていますが、これらは多文化の共創を表現しています。

Snow-Deer
作者:名和 晃平

降り積もる新雪のようにふっくらと輝く白鹿は、神道などにおいて古来から神使として親しまれてきました。本作の神鹿は温暖化による海面上昇やさらなる気候変動を感じ取り、いずれ訪れる氷河期の未来を静かに見つめているのかも知れません。

提供:I.F Art SG Pte Ltd

The Woman with Terrestrial Malady ”LEM”
(地上病の女 ”レム”)
作者:REMA

この作品は、人魚という神秘、誘惑、不気味さ、さらには終末論的なモチーフを通して、現代のアイデンティティ、進化、そして社会的幻想が交錯する新たな神話を紡ぎ出します。顔を失った彫刻”LEM”は、匿名性や社会が生み出す固定化されたイメージを映し出しながら、その枠組みが常に変容していくことを示唆しています。人魚が時代とともにその姿を変えてきたように、私たちのアイデンティティもまた、絶えず書き換えられていくのです。

提供:中西石材店

潮流
作者:中西保裕

この作品は、2018年に東京国立新美術館にて開催された、第82回自由美術展に出展し、グランプリを受賞した抽象作品です。
素材は黒御影石です。この石は御影石(花崗岩)の中でも最も硬く、鏡面の仕上げは非常にデリケートで、少しの磨き残しや傷は、仕上げのバフ磨きの最終工程まで油断が出来ません。
しかし、素材の耐久性から屋外の環境にも耐えることが出来、年月による輝きの衰えも少なく、曲面が周囲の景観を映し出すことでさまざまな姿を表わし、季節、時間、天候による変化を楽しむことが出来ます。
中央の荒く削った部分は、周囲の流動性ある水の滑らかさから一転して、強い圧によって中央の穴に流れ込む様を表現しています。
上から覗き込むと中心の穴に全てのものが吸い込まれるような、神秘的でミステリアスな部分と、その先に未知の空間が広がっているようなユニークな表現をしています。