象印マホービン株式会社
2025.02.18
「マイボトルがつくるサステナブルな未来」魔法瓶メーカー 次の100年を描く Vol. 4
マイボトル洗浄機

5m以内に近づくとセンサーが感知してLEDパネルの〝目玉〟がまばたきをはじめ存在をアピールする。万博仕様の「マイボトル洗浄機」の試作2号機が出来上がった。幅35cm・奥行き46cm・高さ110cm。サイドパネルに使われた吉野杉が優しさを演出する。外観こそ1号機と大きく変わらないが、機能性など大幅に改良された。

デザイン担当の小谷がこだわったのは、初めてでもストレスなく使えるだけでなく面白さも感じてもらえる仕掛けだ。「これ、何だ?」と〝目玉〟で呼び込み、さらに近づくと前面の液晶パネルが作動。ボトルを入れてから洗浄、取り出しまでの約20秒間に手順を導くだけでなく楽しさも演出する。海外の人にも分かるようにしたスタンダードタイプの動画と、キャップとボトルに扮(ふん)した〝分身〟がコミカルな動作と言葉の掛け合いを見せるキャラクタータイプの2種類の動画を用意した。終了すれば「洗浄回数」や「CO2削減量」が表示される工夫も施された。

一方、内部のメカニカルな部分も大幅に改良された。「製品開発」に協力する株式会社STUFFの吉村誠司もゼロベースで見直し、屋外、長期という厳しい条件に耐えられるものを目指した。スペースに限りがある中、工夫を重ねて「雨にも風にも負けない」製品へと完成度を高めていった。

多くの人が訪れ、6か月という長丁場の万博。未経験の夏の対応には不安も残る。ベテランエンジニアとしてサポートしてきた熊谷は、会期が始まればつぶさに洗浄機の観察を重ねて軌道修正をしていくつもりだ。1970年の大阪万博を体験し、あの時の高揚感を知る熊谷だからこそ、ワクワクしながら万博のインパクトに期待する。

象印では2006年から「マイボトルのある暮らし」を掲げ、社内では「ペットボトルゼロ」が定着する。時代も「使い捨てのない社会」の実現へと理解や機運も高まってきた。取り組みを統括する岩本は「マイボトル洗浄機が身近にある便利さをひと足先に体験してもらいたい」と力を込める。

万博の場でベールを脱ぐ屋外型のマイボトル洗浄機。プラスチックごみ削減のために、マイボトルで未来を変える。大きなチャレンジは始まったばかりだが、岩本は言う。「万博での取り組みは、象印にとっても大きなレガシーとなる」。次の100年へ、第1走者のバトンはつながれていく。

洗浄後は液晶モニターにCO2削減量などが表示される
マイボトル洗浄機を前に(左から)小谷 啓人さん、熊谷 浩志さん、吉村 誠司さん、岩本 雄平さん

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