株式会社折兼
2025.03.06
木粉が生む「森林・地域を元気にするごみ箱」。木と生きる町からの発信 Vol.3
「森林・地域を元気にするごみ箱」。右は杉の木粉、左は竹粉を使用
※ごみ箱のペイントなど、一部画像処理を行っています

未利用の徳島県産木竹材を余す所なく使った「木粉」から生まれる「ごみ箱」。「森林再生、地域活性化」の旗印のもと、代表企業の折兼と新たに旅行会社JTBが加わり、協力企業5社の力を結集してデザイン、成形などの開発に知恵を絞ってきた。コーディネーター的な役割を果たす折兼の服部貞典は「通常つながることのない会社が、Co-Design Challengeを機会に手を結び、一緒になって新しいものを作ることができた」と言う。庄野も振り返る。「折兼を中心にチームが一丸となった。単独ではたどり着けなかった」。

庄野がこだわった木粉の配合量も、目標をほぼ達成し、半分近くまで混ぜ込むことができた。安定した形状を確保するため、樹脂との配合割合の微妙な調整が続いたが、今後の木粉利用5割以上達成も視野に入ってきた。

デザインでも大きな進展があった。木粉を混ぜ込むことで素材を流し込む際にムラが出来るが、「これも自然素材を使っているからの表情。一点ものの味わいを楽しんでもらおう」と積極的に活用することにした。ダークブラウンのグラデーションの色合いをいかしながら、杉と竹のシルエットをイラストにあしらう。とはいえ高さ28cmのごみ箱。万博で存在をアピールするための次の一手はないものか。丸太の台座にごみ箱を固定すれば、という案が出た。台座は高さ30cmほど。どっしりとした台座の上にごみ箱を固定すれば、杉や竹のシルエットが丸太から生えてきているようにも見える。高さもちょうどいい具合になり、見栄えが格段に増した。

ごみ袋も植物由来30%のものを使い、ごみ箱のデザインが隠れないようにかぶせ方にも工夫を凝らすつもりだ。環境に優しい素材で作り上げたごみ箱。「ごみを捨てる前に本当に不要なのか、気づきのきっかけになれば」。庄野は期待する。 

「自然のテーマパーク」と言える豊かな自然に恵まれた徳島県那賀町などを存分に楽しんでもらおうと春、夏、秋と予定される体験企画も細部を詰める。JTBと目指すのは、地域の魅力を生かして旅行者を呼び込む「着地型観光」だ。地元の人が慣れ親しんできた日常の自然や風景は、外部の目を通せば「非日常ですごくいい」という付加価値を生む。竹林にデッキやテーブルなどの眺望スペースを整備すれば、持続可能な観光にもつなげられる。

静かな森林と清流に包まれる那賀町。大事に守られてきた地域の宝は、まだまだ隠れた魅力を秘める。「動くことによって可能性が広がる」。庄野の実感だ。ごみ箱で地域を元気にする。挑戦を重ねながら林業の未来、那賀の未来へと一歩ずつ歩みを進めていく。

万博会場へ計6個提供される「森林・地域を元気にするごみ箱」(ペイント前)
夏の体験企画のひとつ「SUP体験」の様子

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