株式会社W TOKYO
2025.03.11
「TGCの発信力で地方の技術を世界へ」 水問題解決の突破口 バイオトイレ Vol.4
「サーキュラーバイオトイレ」の完成予想図

2024年元日に能登半島地震が発生した北陸地方では、同年9月には豪雨に襲われ、広範な被害が発生し、被災地域では飲料水や仮設トイレの確保など、被災者の健康と命を守る喫緊の課題が浮き彫りとなっている。災害はいつ起こるかわからない。「日頃からの備え」の重要性が強調されている。

「私たちが万博会場へ提供するサーキュラーバイオトイレは、トレーラーで運搬して設置するため、災害時の緊急対応での出動が可能です」と田嶋は言う。大阪・関西万博で利用されることを機会に、「いざという時に使える」と多くの人に知ってもらえることを期待している。万博会場での設置場所は、夢洲第2交通ターミナル、団体バス乗降場の出入り口付近の予定だ。「自然にも人にも優しいSDGsをテーマにした万博の会場にふさわしい、水を循環させるシステムを、来場する人たちに見てもらい、体験してもらうことを楽しみにしています」。そのため外観や内装についてもデザイナーと協力し、目を引くようにして「面白いトイレだよ」とコンセプトを理解してもらえる工夫をしているという。

「日本は、水はふんだんに使えるし、水道の蛇口からすぐに飲めるきれいな水が出るのがあたり前になっています。古くから、水は空と大地を巡るもの、人間はその恩恵を受けるものという理解がありました」と淺川は語る。言葉の歴史を振り返れば「便所」を意味する「かわや」も、元は「川の上に掛けて作った小屋」という意味だったという説がある。人間が大自然の循環の一部として暮らしていたことを物語っている。サーキュラーバイオトイレは、その循環を、トレーラーで持ち運べるシステムの中で展開する仕組みだ。

だからこそ、世界の災害や紛争地域の復興や、簡単に水を引けない環境など世界のあらゆる場所に届けられる可能性を秘めている。 田嶋は「このシステムがあると知っていてもらえれば『いざという時』に一緒に動けます。『日頃からの備え』として活用できるシステムです」と人々が実感できる日を心待ちにしている。

W TOKYO 地方創生・SDGs管掌 田嶋 康弘さん
W TOKYO ソリューション事業局 淺川 万葉さん

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