&SPACE PROJECT
2025.03.12
「宇宙ロケット廃材でつくるベンチ」アップサイクルで宇宙を身近に感じてほしい Vol.3
宇宙ロケット廃材を活用したアップサイクル家具「宇宙タンクベンチ」

万博開幕まで3か月を切った2025年1月中旬。宇宙タンクベンチの制作現場では、突起部分をアクリル加工したり、屋外用のシートを取り付けたりと、いよいよ総仕上げの段階に入っていた。子どもから大人まで多くの人が訪れるため、安全対策を万全に講じていく。その一方で、体験企画のコンテンツ作りは練り直しが進み、すでに決定しているオープンファクトリーや道東を巡るツアー以外に、宇宙への夢を育めるような体験プランも用意しようと意見を交わす日々が続いていた。

プランを固めるため、宇宙関連のツアーに豊富な実績をもつ旅行会社と連携し、プロジェクトの出発点となった大樹町を視察。実物の小型ロケットの展示施設やロケット発射場、航空宇宙実験場を備えた公園などを巡り、宇宙に一歩でも近づこうと活気づく街の魅力を感じながら、ペットボトルロケットの工作・打ち上げ体験などを楽しめるプログラムがアイデアとして盛り込まれた。

「みんな宇宙に手が届く」。このキャッチフレーズとともに、北海道を舞台にした新産業創出に向けて突き進んできた「&SPACE PROJECT」。趣旨に賛同してくれる企業からの問い合わせも相次ぐようになった。この流れをもっと個人に、特に子どもたちに宇宙を身近に感じられる機会を届けたい。十枝内たちは、万博がその呼び水になればと期待を寄せる。宇宙人からUFO、ブラックホールまで、テレビや雑誌など多くのメディアがこぞって宇宙関連の話題を取り上げた時代に、十枝内らプロジェクトのメンバーたちは幼少期を過ごした。「潜在的な憧れとして心のなかにあった宇宙が、この取り組みのおかげで一気に距離が縮まり、無限の可能性に再び胸が躍りました。子どもたちにも心ときめく瞬間をぜひ味わってほしい」。

民間企業が次々と宇宙ビジネスに参入したことで、将来的には宇宙旅行が一般化される未来が予想されている。プロジェクトでは、第1弾とする宇宙家具の制作以外にも、宇宙産業に興味がある企業同士を結び付けるサポートをするなど、北海道を起点に第2弾、3弾へと続く取り組みを考えているところだ。「いずれは宇宙旅行で人気のお土産を開発するとか、いろいろな切り口で宇宙産業を盛り上げていければ面白いよねって、いつもみんなで話しています」。誰もが宇宙を身近に、もっと楽しくかかわれる未来を信じ、十枝内たちの熱い挑戦は続く。

11株式会社 代表 十枝内 一徳さん
道東の雄大な自然が感じられる釧路湿原国立公園の展望台

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