旭川家具工業協同組合
2025.01.07
木製家具が育んだデザイン都市。旭川家具の魅力を世界へ発信 Vol.2
万博会場へ提供予定の「 IFDA 」出品作から生まれた製品

 1990年に旭川市開基100年記念事業の一環として「国際家具デザインコンペティション旭川(IFDA)」は開催された。IFDAは3年に1度開催され、2024年に12回目を迎えた。世界中から木製家具のアイデアを募り、優れたデザインを追求するこの取り組みは、家具デザイナーの登竜門となっている。2024年6月の審査会では2025大阪・関西万博で会場デザインプロデューサーを務める建築家・藤本壮介氏をはじめアメリカ、ヨーロッパなどの著名デザイナー5人が審査を行った。ここまでの12回の開催で、計1万点を超える応募があり、デザイナーと旭川家具工業協同組合のメーカーなどが契約し、製品化も行っている。

 「2024年は、世界38の国と地域から655点のデザインが集まりました。旭川のように、34年という長きにわたり、木製家具のデザインコンペを続けている国や地域は他にはない。Co-Design Challengeでは過去の受賞作などから、旭川家具の魅力が伝えられる椅子5脚を万博会場に提供する予定です」と藤田は言う。

 また旭川市では、家具だけではなく、建築や機械金属、食や観光などの地場産業の魅力をものづくりツアーやワークショップなどで体感してもらうデザインイベント「あさひかわデザインウィーク」を2015年から開催している。デザインウィークの期間中には、旭川家具工業協同組合の主催で、旭川家具の産地展「Meet up Furniture Asahikawa」を開催しており、家具職人が技術力を競う木工技能競技大会やオープンファクトリーなど多彩なイベントを行っている。「オープンファクトリーでは、童心に返って、楽しく木工の世界を体験してもらっています。塗装されていない白木にペーパーをかけて、オイル塗装して仕上げるという経験が、あまりないんですよね。木製スプーンを削って磨いて、完成をどの時点にするのかは人それぞれ。ものづくりを擬似体験していただけます」と藤田はほほ笑む。2025年は万博期間中の6月に開催を予定しており、旭川と万博会場の連携や相互誘客も期待される。

 旭川市は2019年、ユネスコデザイン都市に認定された。2024年10月現在で、世界49都市、国内では神戸、名古屋についで3都市目となる。「Co-Design Challengeを通じて、旭川の良質な素材、世界クラスのデザイン力、最高の技術力など、旭川の強みを世界中の方々に見ていただきたいし、また旭川に来て実際に体験してほしい」と藤田は優しい曲線を描く木製家具にそっと手を添えた。

旭川デザインセンターでの木工体験ワークショップ、木のスプーンづくりの様子
部品の組み立ての様子(カンディハウス工場)

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