『アオと夜の虹のパレード』の音楽を創り出した作曲家・プロデューサー:菅野よう子さんに話を聞いてみた

アオと夜の虹のパレード
アオと夜の虹のパレード

大阪・関西万博の夜を彩る水と空気のスペクタクルショー『アオと夜の虹のパレード』で音楽制作を担当したのは、数々のアニメ・映画音楽で世界を魅了する作曲家・プロデューサーの菅野よう子氏です。このショーの音楽は、どのような過程を経て、どのような想いで創られたのか…… そのリアルなメイキングを語っていただきました。

万博で行う噴水ショーのあるべき姿とは…

―『アオと夜の虹のパレード』には、どのような経緯で参加されることになったのでしょうか。

菅野:企画そのものは2022年からスタートしていて、田中直基クリエイティブ・ディレクターや音楽プロデューサーの冨永恵介さん達コアスタッフが挙げた作曲家候補の一人が私だったようです。田中さんとは2015年にCMソングの制作でご一緒した経験がありました。私が正式に参加したのは、2023年の3月くらいだと思いますが、「水と空気は地球の歴史を全部知っている」、「その記憶にまつわる伝承歌がある」というお話の核が出来上がっていた頃ですね。でも私が最初に困ったのは、これが何分間のショーなのか、一日何回上演されるのか、といった上演プログラムとしてのフォーマットがなかなか決まらないことでした。

―プロジェクトに参加してみて、まず、どのようなショーにしていきたいと思われましたか?

菅野:「小学生くらいの子どもたちにしっかり届けたいよね」と、田中さんともよく話していたんですが、頭のやわらかい子どもたちに対して、「これが正しい」と、大人の言いたいことを一方的に押し付けるのはやりたくないと感じていました。語りたいことを前面に押し出さずに、結果として伝わっていく…… そんな形にしたいなと、最初の時点から考えていました。

もう一つ、ラスベガスの噴水ショーを見た時に思ったんですが、ラスベガスって砂漠の真ん中にある人工のオアシスですよね。そこで水をふんだんに使った噴水ショーができるということは、まさに「富の象徴」であり、自然をコントロールすることだってできるという「人間の力の誇示」のように感じていました。日本でもし噴水を使ったショーを行うなら、そういう「お金や力」が透けて見えるようなものにはしたくないな、と思いました。

水や空気は「コントロールするもの」ではなくて、「共に生きているもの」という感覚が日本人にはあると思うんです。神社にお参りする前に手水鉢で手を洗ったり、滝に打たれたり、禊(みそぎ)で水浴びすることも私たちにはなじみ深いことです。津波や台風の怖さも記憶に新しい。美しいし、恵みもくれるけど、ちょっと怖い。バチ当たりなことをしないように水神や風神を大切に祀ったりして日々を過ごしているじゃないですか。屈服させる無機物じゃなくて、隣で暮らしてる生きもののようなもの。「水と空気は地球の歴史を全部知っている」というコンセプトの解像度を、さらに一段階上げて、「共に在るもの」という自然な感覚を呼び覚ますような表現をすべきなんだろうなと思いました。日本人が持っているこの独特の自然観を反映したようなショーこそ、万博で実現してみたい、そんなふうに思っていました。

音楽先行でスタートし、時間配分をシミュレートする

―実際の音楽作りの作業は、どのように始まっていったのでしょうか?
 
菅野:まず、音楽のデモを先行して作り、時間配分をシミュレートするような形で始まっていきました。これには私がバレエやミュージカルを好きでよく見ていた経験も生きているかもしれません。たとえばチャイコフスキーの『くるみ割り人形』。先に音楽があって、それに合わせて振り付けを作るじゃないですか。今回も、水や空気、光や炎の「振り付け」を音に対して付けてもらうやり方の方が、多分うまくいくだろうなと思いました。

もちろん、その後に微調整を山のようにしています。たとえば技術チームのECA2(フランス)から、このタイミングでは水の加圧が間に合わないので、サビ前は何秒か長くしてほしいとか。田中さんから、静かに語るシーンにもっと時間を取りたいとか…… そういう細かいオーダーをもらって手直ししていくことで、ショー全体のディテールが決まっていきました。

―そうなると、既にできあがっていた演出プランやシナリオに合わせて菅野さんが音楽をはめ込んでいったわけではなく、まず菅野さんが組み立てた音楽的なイマジネーションの中で、全体のストーリーラインやボリューム感が形になり、そこに各スタッフが肉付けしていったような作られ方だったわけですね。
 
菅野:そうですね。まずは音楽で全体の「流れ」を作りました。エンターテインメント・ショーとして必要な「場面の抑揚」は、バレエやミュージカルの経験から自分の中に「体感」として持っているので。音楽って「時間そのもの」なんですよ。だから、まずは「時間の配分」をしたかったわけです。

そこから後はもう、言葉の1文字単位、0.数秒単位をめぐっての田中クリエイティブ・ディレクターと音楽サイドの攻防です。もちろん、言葉が少なすぎて、何を訴えたいのか伝わらなくては意味がないんですが、「言いたいこと」が全面に出すぎて、お説教ぽくなってしまうことを私は恐れていたので。その適切なバランスを探るために、必要な「攻防」だったと思いますよ。

技術チーム「ECA2」とのコミュニケーション

―先ほどもお名前が出ましたが、今回のショーの設計、空間演出・制作を担当したフランスの技術チーム「ECA2」の皆さんとは、どのようなやり取りをされたのでしょうか?
 
菅野:ECA2は、演出家のモイラ、噴水プログラマーのジェイムス、レーザープログラマーのタラ、音響エンジニアのジャン・フィリップらクリエイティブ・チームを擁するフランスのプロダクションです。生きもののような有機的な動きとか、風が吹き荒れる様子を水で表現するとか、こちらがイメージしていた以上の表現を見事に実現してくださいました。私のデモもとても詳細に聴きとってくれていて、それこそ「振り付け」のような感覚で噴水、レーザー、照明、炎などの演出を割り振ってショーを形にしていく様子は、毎日マジックを見ているようでした。最後の仕上げをしていくスピード感や手際の良さも頼もしかった。

『アオと夜の虹のパレード』には、これまで見たこともないような技術や表現がたくさんあります。吹き上がっている噴水の飛沫に対してピンポイントに光が当たるとか、前後の奥行を表現しながら重なっていくとか。「日本ならではの自然観」は、こういう技術的な助けがあってこそ、演出の中に繊細な表現として込めることができたんじゃないかな、と思っています。

ライブならでは「テンポの揺れ」の演出

―こういった屋外での噴水ショーの音楽制作と、菅野さんがこれまでに積み重ねてきたアニメや映画ための音楽制作とでは、なにか違いはありましたでしょうか?
 
菅野:違うとしたら、やはり「ライブ」だという点です。観客の皆さんがいて、その目の前でショーを観ていただく「生の体験」を提供するもの。ショーは毎日開催されているけど、天気や風の影響を受ける以上、毎日同じ体験ができるわけではない…… こういうライブの感覚があるところです。

噴水って、水が吹き上がり出して、勢いを増して高くなって、その勢いが弱まって消えたりするような、水の動き独特の「間」がありますよね。その「溜め」のエネルギー量を音楽で表すために、今回の音楽では、1曲の中でテンポを微妙に変えています。水と空気の「エネルギーの満ち引き」や「溜め」、「余白」、「消えゆくはかなさ」、そういうものを表現する音楽側からの工夫の一つとして、「テンポの揺れ」を意図的に使いました。

アオと夜の虹のパレード ショーの様子
アオと夜の虹のパレード ショーの様子

みんなで祈る時間とエネルギーを

―『アオと夜の虹のパレード』の中で、菅野さんが特にお好きなシーン、あるいは、特に力を入れて音楽を作ったシーンなどはありますか?
 
菅野:一つは、皆が居なくなって一度「無」の世界になってから、ドードーが復活するまでのシークエンスです。アオちゃんが一人で歌い出すところから始まり、徐々に世界が修復されて、音楽も厚みを増していきます。でも、アオちゃん一人が歌ってくれたから世界は全部救われました……みたいな、単純な解決にはしたくなかった。皆が願って、祈って、声を合わせないと元に戻れないかもしれない。観客の皆さんが応援したくなるような、お客さま一人ひとりがこの物語の一員となれるような形にしたかった。

日本やアジアは、自然に対する「祈り」を日常的にしてるじゃないですか。何かを祭ったり、お供えしてみたり、神様の形をしていても中身は雨だったり、風だったり、波だったり。あの感覚を、このシーンにまとわせたかったんです。その想いを、左右に二つの光の玉が現れて、中央で合わさり、光の雨になって降り注ぐ……という演出で、田中クリエイティブ・ディレクターとECA2が形にしてくれました。何かと何かを合わせないと願いは届かない。そのために「みんなで祈る」時間とエネルギーを、ここで表現できたかな…… と思っています。

あとは、やはりお祭りのシーンですね。「空気」がコンセプトの一つなので、まさに空気そのものである「声」の要素をたくさん使おうと思っていました。南インド特有の「コナッコル」と呼ばれる伝統的なボイスパーカッション音楽をフィーチャーしているのもその一つです。今回は念願かなって南インドの都市:チェンナイ(旧マドラス)でレコーディングを行うことができました。お祭りの音楽ですから、ソロじゃなくて、大勢が声を合わせたときのグルーヴが乗る。これをぜひやってみたかったんです。

インドには初めて行ったんですが、神様とか宗教的なものが今もなお生活の中に色濃くあふれていました。コナッコルを演奏してくださる皆さんも、スタジオに入るとき、寺院と同じように裸足になるんです。彼らにとって音楽は神様に捧げるものなんです。こういう感覚こそ、今回のショーで表現したかったことの一つです。水や空気や地球の生きものたちが、自分と共にある、その喜びと畏れと感謝。インドでの録音を通して、忘れかけていたそういった思いを新たにできたのは、本当によい経験でした。

インドでの録音の様子
インドでの録音の様子

音楽だけでなく、効果音やセリフまでを総合的に監修

―今回、菅野さんは音楽のみならず、効果音やセリフなども含めた、音響制作全体の監修もなさっていると聞きましたが。
 
菅野:はい。俳優さんのオーディションから、セリフのレコーディングも。サウンドエフェクト(効果音)は伊藤瑞樹さんというサウンドデザイナーの方にお願いしていますが、全体の組み立て方やミックス、会場での音場環境の構築なども含め、音響制作全体の監修に関わらせていただきました。あれだけ横に広く、奥行きもある会場です。左右に16ch、後方に8chの24.1chのサラウンド音響システムになっていますので、その環境を想定したミックスを制作する必要がありました。映画製作時に使う「角川大映スタジオ」のダビングステージで作業してから現場に臨んだんですが、とはいえスタジオは5.1chの環境なので、実際のミックスは万博会場で詰めるしかなかったんです。

ECA2の音響エンジニアも含めて、この音はこのスピーカーからこれくらいの音量で、こういうイコライジング(周波数特性)で出したい…… みたいな話を、開幕までの1か月間はずーっと現場で…… いえ、開幕した後も、夜のショーでのお客さまの反応を観ながら、ECA2チームがフランスに帰国する前日まで調整をやっていました(笑) 今でも会場に来るたびに、音の聴こえ方や各スピーカーのチェックなどは必ずやってまいす。ここはかなり頑張りました。ただ難しいのは、ウォータープラザに面した他のパビリオンさんに、騒音として迷惑がかからないようしないといけないわけです。そこはECA2が、観客席以外のエリアにあまり音が拡散していかないようなスピーカー配置を綿密に計算してくれました。

俳優さんのセリフのレコーディングでは、おばあちゃん役の夏木マリさんがとにかく素晴らしかったです。お話の導入部分ですし、説得力が必要な、とても難しいパートですが、細かい説明もせずほぼ全てワンテイクでOK。アオちゃん役の毛利花さんも凄かったです。アオちゃんの無垢さの演技と、歌声のきれいさ、そのバランスが本当に完璧でした。舞台や歌の経験も豊富なのに、慣れや手癖のまったくない、初めてのような真っ直ぐさとフレッシュさがある、将来有望な俳優さんです。ドードー役の友近さんは田中クリエイティブ・ディレクターの一推しですね。西尾さんていうピザ屋のおじさんを演じる友近さんのネタがあるんですが、その性別不明なかわいいおじさん感のあるドードーになりました。

サウンドチェックをする菅野さん
サウンドチェックをする菅野さん

『水と空気のシンフォニー』のピアノ・セッション

―『アオと夜の虹のパレード』の音楽の一部は、アレンジを変えて、昼間の時間帯の噴水ショー『水と空気のシンフォニー』でも使われていますね。
 
菅野:『アオと…』は、やはり夜だけのショーなので、ウォータープラザの昼間の噴水ショーでも『アオと…』の予告と期待感の演出のため、一部の音楽をピアノアレンジして聴いていただいています。それが毎日11:00~16:00の毎時0分から約5分間、自由入場で体験できる『水と空気のシンフォニー』です。開幕前の私の勝手なイメージですけど、万博会場は近未来感のあるシンセサイザーの音がいっぱい流れてるもんだと思ってたんです(笑) だからここだけは生のピアノの音を活かしたいなと。夜のショーの楽曲をピアノ曲にアレンジすることで地続き感を作りつつ、また別な感触で聴いていただけるように。ピアノ演奏は森下唯さんとBenyamin Nuss(ベンヤミン・ヌス)さんにお願いしています。ピアノを二台並べて、せいの!の一発録りで弾いてもらっています。

この噴水の演出はすごく苦労したんです。二人の人間が弾いている生ピアノのライブ・セッションですから、決まったビートがずっと流れているわけではなくテンポが揺れますので、噴水の演出との同期が難しいんです。技術チームもどうしていいか分からないと言うので、仕方ないから私、踊りましたよ。バレエの振付けみたいに手で指揮するように噴水の流れを表現して、それを動画で撮って見せて、それで初めて「分かった!」って(笑)

でも、そういう過程もとても面白くて。今回の噴水ショーでは、「無意識」とか「体の感覚」が一致していたようなレベルで、当初曲を作りながらイメージしたものがそのまま薄まらずに形になって出てきた感じがしたんです。頭に何かの機械を取り付けて、思った通りに噴水が動いてくれたみたいな(笑) それくらい「薄まらない」感覚で水が動いてくれた。そこが本当にすごい体験でしたし、とてもうれしかったです。

―『アオと夜の虹のパレード』の会場となった「ウォータープラザ」には、どのような印象を持たれましたか?
 
菅野:ウォータープラザの中心にある四角いゲートのようなモニュメント「ウォーターカスケード」は、『アオと夜の虹のパレード』のメインのスクリーンでもあるけど、何も上演していない状態で見ても、なにかの扉とかゲートのように見えますよね。神社の鳥居のようですし、「向こう側への入り口」になっているような。加えて、会場を「大屋根リング」という結界で囲って、その中心の「静けさの森」から海に向かって降りてくるメインの大通り「シグネチャーゾーン」は参道のようです。今回の万博を象徴するシグネチャーパビリオンで、各プロデューサーがそれぞれの想いとか「祈り」を形にしていて。そこからの流れを向こう側に送り出している「門」が、ウォーターカスケードみたいにも見えますね。

ワンフレーズだけでも持って帰ってほしい…

―『アオと夜の虹のパレード』や『水と空気のシンフォニー』の感想や評判は、どんなふうに菅野さんに届いていますか?
 
菅野:現場に何度も足を運んで、お客さまたちの反応を直接見ることがすべてです。いつも、すごく集中して見ていただいているのを感じますし、「よかったね!」とか、「ドキドキしたね!」とか、「炎が熱かったね!」とか。思わずワーっ!って声が上がったり、拍手が起こったり、大勢が泣いてる瞬間があったりとか。そういう反応を生で見ることだけが、自分に入ってくる情報です。

子どもたちが帰るときに、「♪ザーワザーワザワワ…」か、「♪ウーワーウワウワー」のどちらかは絶対に歌いながら帰ってほしいと思っていたんです。面白かったね、すごかったね、ドキドキしたねって気持ちと一緒に、ワンフレーズだけでも「歌」を持って帰ってほしいと。空気を吸う、息をするのって、生きていることの証しじゃないですか。このショーのテーマの一つです。吸って、吐いて、声になり、歌になる……その音を子どもたちに持って帰ってほしかった。ショーが終わってお客さまが帰るところをこっそり何度も見てますけど、歌いながら帰っていく子どもたちを見ては心でガッツポーズです(笑) 

あと、やはり関西の方がたくさんいらししてますよね。なので、関西ならではの「ノリ」を感じるというか。深く熱く感情移入されていて、気持ちの中にしっかりとストーリーも入り込んでいるし。「ここで拍手が起こるんだ!」みたいな驚きもいくつかありました。近所のおばちゃんみたいな感覚でアオを応援してくれて、虹が出た時は、「あぁ、よかったなぁアオちゃん!」と声に出してる方もいますし。ドードーを演じてくださった、友近さんの力も大きかったと思います。

『アオと夜の虹のパレード』は、暗くなった時間帯の夜のショーですから、お客さまたちの「一日の万博体験」としても、最後のクライマックスなんですよね。疲れたし、お腹すいたし、もう帰ろう……と思っている人たちの足を止めて、一日の疲れも、暑さも、全部忘れてもらえるような体験を届けたい。クライマックスを任された私たちスタッフ一同の、それが強い動機になりました。

「その場所でしか味わえない体験」を大切に…

―今回の万博を通底する「いのち」というテーマを受けて、菅野さんなりに、それをどう表現したか、応えられたか…… そういう点についてはどのように感じられていますか?

菅野:私としては田中クリエイティブ・ディレクターの思っていること、表現したいこと、実現したいことを、音楽でどれだけ後押しできるか、見ている方にどういうふうに分かりやすく伝えるか…… そこに注力したに過ぎません。ただ、田中さんの考える「いのちの有り様」が、私が日ごろから感覚的に感じているものと、かなり近いところのあったのは幸運でした。

息を吸ったり吐いたりすることや、自分の皮膚や呼吸と自然は地続きで、水や空気が全部私自身になるみたいな感覚とか。体の感覚や体験を大切にすることだとか、畏れや祈りだとか。そういうものって私には言語化できなくて。言語化できないから音楽で表現しているんです。今回も、「いのちの有り様」を音楽に翻訳したら、結果的に今の形になった…… としか言いようがなくて。

―最後に、これから大阪・関西万博に訪れようとしている方に、何かメッセージをお願いいたします。

菅野:花火大会ってすごく日本的だなと思うんです。鎮魂の意味が込められていたり、雨が降ったら中止になっちゃうはかなさとか、ギリギリで夕立が止んで見られたときのうれしさとか。終わった後の寂しさも含めてが体験だし。先ほどから話している、日本人特有の自然観とかお祭り観を持った、一期一会の体験として持って帰ることができるものですよね。わずか数か月で消えてしまう「万博」も、その時、その場所でしか味わえない体験なり、体感なりをしてもらいたいという、大きな大きな「表現」の一つなんだろうなと、私は思っています。

今はネットで知った気分、分かったつもりになってしまいがちですけど、やっぱり「その場所」に行くと体験・体感の厚みが全然違います。現場に足を運んで音やにおいを浴びて、空気や風の流れを感じたりする時間の大切さ。皆さんにも、そういう花火大会のような一期一会の体験をしに来ていただき、かつ、大切な経験として持って帰っていただけたらいいな、と思っています。

―今日は貴重なお話を、本当にありがとうございました!

●インタビュー・執筆:不破了三

菅野よう子さん

【菅野よう子(かんの ようこ)】
作編曲家/音楽プロデューサー。
NHK東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」
アニメ作品「COWBOY BEBOP(日/1998)(米/実写版/2021)」「マクロスF」「攻殻機動隊 S.A.C」
2019年天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典、奉祝曲「Ray of Water」の作編曲・献奏指揮
Netflixシリーズ 是枝裕和監督「舞妓さんちのまかないさん」
2023年Newsweek誌「世界が尊敬する日本人 100人」に選出。

【関連リンク】
アオと夜の虹のパレード 公式サイト:https://www.expo2025.airandwatershow.jp/
アオと夜の虹のパレード オフィシャル動画 サントリー:https://www.youtube.com/watch?v=wCXQgbREp70
アオと夜の虹のパレード 伝承歌”にじまつり”:https://www.youtube.com/watch?v=PueVHes4weo