2022.07.26
イベント
大阪・関西万博自治体連携プログラム オンラインスクール「海のがっこうin四国水族館」開催

2022年3月5日、当協会は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)への全国の自治体の参加促進、機運醸成並びに会場の四方を海に囲まれた初の国際博覧会「海の万博」に対する関心をより高めることを目的に、オンラインスクール「海のがっこうin四国水族館」を開催し、約900組の親子の皆さんにご視聴いただきました。

当日は、瀬戸内海に隣接する四国水族館を教室に見たて、実施しました。1時間目と2時間目は兵庫県神戸市、香川県宇多津町が海をテーマに授業を行いました。3時間目は神戸市、宇多津町、四国水族館、ナビゲーターの桝太一さんで「海と地球の未来」についてのトークセッションを、4時間目は桝さんとともに館内ツアーを行いました。

■開校式 「海の万博」がやってくる

当協会経営企画室 審議役 森栄子(右)から、万博とは何か、大阪・関西万博の開催概要についてお話しました。

大阪・関西万博は、会場が四方を海に囲まれた初めての万博です。
今回の万博では、みんなで大事にしなければならないものについて考える、その1つの大きなテーマが海です。海とわたしたちの関わり、海の可能性、海のすばらしさをみんなで考えていこうという万博をめざしていること、みんながワクワクして万博の開催を待ってくれることが大きな力になり、万博の成功につながります。

■1時間目 海とカーボン 神戸市企画調整局エネルギー政策課 秋田大介氏

カーボン(炭素)をキーワードに、二酸化炭素、メタンガスといった温室効果ガスが地球温暖化に与えている影響や、二酸化炭素の排出を減らすため、神戸市が取り組んでいることをお話いただきました。ナビゲーターの桝さんからは、日本は海に囲まれており、日本だからこそブルーカーボンは大きな意味をもつというコメントがありました。

海の生物が二酸化炭素を吸収して炭素を体の中などにためること(固定するといいます)を「ブルーカーボン」といいます。
神戸市では、神戸空港を傾斜護岸にしたり、須磨海岸でアマモの移植をするなどし、海藻が増える環境づくりに取り組んでいます。池の水、ため池、貯水池でも水草(ササバモ)を増やす取り組みを行っており、二酸化炭素をどれくらい吸収するのか大学と共に調査しています。また、水素の活用にも取り組んでおり、液化水素の運搬や貯蔵、水素から電気と熱を作って街に配る実験(神戸が世界初)もしています。

■2時間目 海と仕事 宇多津町まちづくり課 木谷文昭氏

海とともにある町、宇多津町で行われてきた仕事の移り変わりについて、歴史を追いながらお話いただきました。

町の半分ほどが塩田で「塩の町」と呼ばれていた宇多津町では、江戸時代から入浜式塩田(潮の干満差を利用して塩水を塩田に取り込む方法)が続いていました。入浜式塩田は、広大な土地が必要で、重労働、かつ天候に左右されていましたが、時代とともに塩づくりの方法は、よりたくさんの塩が作ることができるイオン交換樹脂膜式に転換していきました。国がイオン交換樹脂膜式以外の塩作り方を禁止したことで、町の3分の1の人々が職を失いましたが、瀬戸大橋の開通で、塩田跡地を活用し新しいまちづくりをすることになりました。埋め立てを行い、現在は四国水族館など商業施設や観光施設が立ち並ぶにぎわいのエリアとなりました。
宇多津町は漁業も盛んで、メバル、タコ、カレイ、サワラがよく採れていました。サワラの稚魚を放流し数を増やす取り組みや、漁業組合が地元の子どもたちに漁師の仕事を身近に感じていただくためにサワラを提供したりしています。
伝統的なものを未来へつないでいくことが大事だと考えています。

■3時間目 トークセッション「未来をひらく海と水族館」

神戸市企画調整局エネルギー政策課 秋田大介さん、宇多津町まちづくり課 木谷文昭さん、四国水族館長 松沢慶将さん、ナビゲーターの桝太一さんが、四国水族館の大水槽前に集合し、海のことや海と人間の関係について、クイズを出したり、視聴者からいただいた質問にも答えながら、子どもたちにもわかりやすく話し合いました。

トークセッションの様子

<主なコメント>
●四国水族館 松沢さん
・一番身近でみんなに関わりのある未来の話は天気です。天気は海と密接に関わっていて、海を知ると天気がわかります。水は温度が変わりにくく、たくさん熱を蓄えます。大阪・関西万博の会場も海に囲まれていますが、海が気温の変化を和らげているんです。
・水族館は、地域の個性的な海の環境とそこに暮らす生物をセットで学べるところです。大きな水族館だけでなく、小さな水族館や特徴的な水族館もたくさん訪れて、日本の海のことを知ることが大切です。
・地球や海、海の生きものを守るために、いま私たちができることとしては、実際に現場に行って、海と自分の生活がつながっていることを実感して、常に意識してほしい。
・海にはわからないことがまだたくさんあるので、海のことを調べる研究者や海の不思議を多くの人に伝える人も大切だと考えます。

●香川県宇多津町 木谷さん
・プラスチックごみが海の問題として言われていますが、その多くは町から出たごみが川から流れついたもの。あたり前の話ですが、ごみのポイ捨てをしない、分別して捨てる、ごみ拾いをするボランティアに参加するなど、今すぐ始められることがいいのではと思います。
・海に関わる仕事としては、元々海にいた生きものを増やす、増やすことを手伝い、昔の海の状態に近づけるような仕事が今後増えていってほしい。例えば、養殖業でも食べるだけでなく、育てて放流するなど、海の生きものの母数を増やす取り組みなどが増えていってほしいです。
 
●兵庫県神戸市 秋田さん
・実際に海や山に行って、ごみがあることをその場で見て考えて、感じてほしいと思います。海でごみを拾う活動は、全国で広がっています。
・海にはまだ使われていないエネルギーがたくさんあります。石油や石炭に頼らずとも、海には風、波、潮の流れというようなエネルギーがある。特に、風力発電が世界的にも増えていますが、日本は海に囲まれているが活用できていないので、それを活用していく仕事が今後増えていくと考えています。

●ナビゲーター 桝さん
・海を身近に感じられるのが水族館。水族館をきっかけに自分の近くにある海に興味を持ってくれると嬉しい。子どもたちには、水族館での経験をこれからの未来に活かしてほしい。
・内陸に住んでいても、海を守る活動はできます。一人一つごみを拾うだけで十分です。大阪・関西万博では「TEAM EXPO 2025」プログラムがあり、例えば、海岸清掃やプラスチックごみを出すことを減らす、というような取り組みを登録すると、お互いに繋がり、他の人の活動を知ることができます。
・海に関わる仕事としては、海のことをわかった上で、テレビや新聞で発信する仕事も大事だと考えます。

■4時間目 桝さんとめぐる水族館ツアー

ナビゲーターの桝さんが四国水族館飼育展示部長 下村実さんの案内で館内ツアーに繰り出し、四国水族館の生きものや豆知識などを紹介しました。

〇アーカイブ動画は、当協会の公式YouTubeチャンネルにおいて、視聴いただけます。
・1時間目 海とカーボン
・2時間目 海と仕事
・3時間目 トークセッション「未来をひらく海と水族館」
・4時間目 桝さんとめぐる水族館ツアー

関連リンク

(プレスリリース)
大阪・関西万博自治体連携プログラム ~海を知れば、私たちの地球が、世界がわかる~ オンラインスクール「海のがっこうin四国水族館」参加者募集開始

TEAM EXPO 2025公式ウェブサイト

(オンライン配信会場)
四国水族館 公式ホームページ https://shikoku-aquarium.jp

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