日立造船株式会社
2024.03.08
「資源循環で新しい道を切り拓く」 スマート回収箱とアプリで分別意識促す Vol.2
環境事業本部 小倉 舞さん

分別の大切さを理解してもらう舞台装置として、特定の資源に絞った回収箱を設けることにした。Co-Design Challengeの取り組みのひとつで、大手商社「丸紅」が食品廃材を再生した循環型食器「edish(エディッシュ)」を提供することを知り、専用の回収箱で協業することにした。

そして、消費者とつながるうえで欠かせないのがスマホだ。もうひとつの仕掛けとして、edishに二次元コードを印字し、食品廃材からどのように誕生し、回収された後、最終的に堆肥(たいひ)となるプロセスをアプリで視覚的に理解してもらう。動画やクイズ形式など分かりやすい形で、気軽に接してもらえるような内容を考えている。海外と比べて日本の分別回収は進んでいるようにみえるが、回収されたその先に興味を抱かせる試みはまだ少ない。「食べて、捨てて、終わりじゃなく、どうやって作られたのか、手から離れた後にどうなっていくのかというところに思いをはせてほしい」。小倉は狙いを明かす。

2024年は、日立造船にとって節目の年になる。1881年に「大阪鉄工所」として創業し、1943年以来、使い続けてきた社名がいよいよ10月に変わる。新しい社名は「Kanadevia(カナデビア)」。日本語の「奏でる」と、ラテン語の「ビア(道)」を組み合わせた造語だ。「多様性を尊重し、技術革新により、オーケストラがハーモニーを奏でるように、人類と自然に調和をもたらす新しい道を切り拓いていく」という意が込められている。

「あなたは、何を、どのように成し遂げたいですか?」。万博開催地の人工島・夢洲が見える本社では、ロビーに貼られたポスターに社員に向けてこんなメッセージが書かれている。新社名の由来である「奏でる」、「奏」という漢字には「成し遂げる」という意味もある。小倉は入社以来、ごみに意味を見いだす仕事に力を注いできた。いつの時代もマイナスイメージしかないごみが、資源として循環するような社会変革を成し遂げる。それは、企業だけでかなうことではない。社会全体が行動や意識を変える必要がある。万博を前に痛切に感じていることだ。

「いきなりは無理かもしれない。普段はポイ捨てしたり、分別を気にしていなかったりした人たちが、私たちの取り組みを見て、少しでも変わるきっかけになってくれれば」。小倉は万博に願いを託す。

アプリ画面のイメージ
活発に議論を行う

この記事をシェアする