株式会社W TOKYO
2024.03.12
「TGCの発信力で地方の技術を世界へ」 水問題解決の突破口 バイオトイレ Vol.2
W TOKYO ソリューション事業局 淺川 万葉さん

田嶋や淺川らが、開発を進める名古屋市の会社や静岡市の研究者のもとに通い、技術について徹底的に学んだ。どうすればソーシャルビジネスにするお手伝いができるのか。どういう形で世の中に知ってもらうのが一番いいのか。話し合いを重ねていた時、Co-Design Challengeの募集を知った。

この技術は単に水をリサイクルし、トイレに水を供給するだけではない。再利用可能な水資源として再生できるだけでなく、処理された排泄(はいせつ)物は農業肥料にも活用できる。日本各地で進む下水施設の老朽化、発展途上国の水不足や衛生環境の改善など世界的な社会課題に対応できる

「安全な水とトイレを世界中に」というSDGsゴール6への貢献を目指すなら、発信する場は大阪・関西万博しかない。皆の意見が一致した。そして、技術の素晴らしさを伝えるには、やっぱり注目を集めないといけない。ここは、TGCで磨いてきた企画力が何より生きる分野だ。「スタイリッシュにデザインし、世界中の人にSNSで発信したくなるような仕掛けを考えたい」。淺川は力を込める。

時間は短く、一瞬のつかみを肝に、キャッチーな事柄を入れる。淺川は入社以来、複雑で難しい社会課題に対して、SNS世代の若年層が関心を抱けるような発信手法を追求してきた。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムの成果を若者に伝えたいという依頼では、TGCの発信の場を活用し、フードロスの取り組みや食生活など身近な話題を通して、5分に凝縮して紹介してもらった。

 「万博の来場者は国籍、年齢層ともに幅広い。地域によっては水環境や水資源に対する捉え方も違う。伝えたいことがたくさんあるなかで、どこを切り取って発信すれば、より多くの人に実感してもらえるか。今からどんな展開ができるか楽しみだ」。淺川のワクワクはとまらない。

パリコレに代表されるファッション業界に挑戦し、2005年にTGCを始めてから19年。昨年6月、W TOKYOは東京証券取引所に上場を果たした。田嶋は言う。「第二の創業のスタートを切り、これからはエンターテインメント以外の業界のことももっと知り、TGCとは全く関係ないようなことにもどんどんチャレンジしていきたい。万博での取り組みを機に、地域の社会課題と世界をつなぐプロジェクトにも目を向けていきたい」。

設計図を見ながら打ち合わせする様子
W TOKYO 田嶋さん(右)と淺川さん(左)

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