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2024年3月28日に万博会場内のグリーンワールド(GW)工区のトイレにおいて発生した火災(爆発火災)事故について、発生原因や関係機関からの指導、再発防止策などについて4月19日にお知らせしておりましたが、施工者が未報告の損傷個所があることが判明し、5月20日に施工者から博覧会協会に対してその旨の報告があったため、お知らせします。
なお、再発防止策を徹底したうえで、火気を使用する作業は4月22日に再開済みです。今回の報告によって、再発防止策には変更はなく、今後も、当該再発防止策を徹底していきます。
2024年3月28日(木曜日)10:55頃、グリーンワールド(GW)工区の屋外イベント広場横、東側のトイレ1階で、溶接作業中に発生した火花が、配管ピット内に溜まったメタンガスに引火したことにより、1階床などが破損しました。この事故による、けが人はありません。
事故発生日時:2024年3月28日(木)10:55頃
人的被害 :なし
物的被害 :GW工区イベント広場横、東側のトイレ1階
・コンクリート床の破損
・床点検口の破損(破損規模:約100㎡)
(今回の報告で判明した新たな損傷個所)
・屋根材の損傷(損傷範囲:2,850×2,500mm、凹み10か所)
・基礎梁部スリーブ損傷(損傷個所:2か所、スリーブ内面変色)
※スリーブとは配管やダクトが建物の梁・床・壁を貫通するための穴を作る筒。
<コンクリート床及び床点検口の破損個所>
<屋根材損傷個所>
<基礎梁部スリーブ損傷個所(地下ピット部)>
・床下の配管ピット直下となる土壌から発生した埋立ガスが、配管ピット内に入り滞留し、ガス濃度が高くなっていた。
・配管ピット内においては自然換気や機械換気を作業開始前に実施し、ガス濃度が基準値未満であることを確認する手順を踏んだうえで作業を開始していたが、作業する範囲が地上階であり、配管ピット内はガス濃度測定の対象エリア外であると認識していた。
・結果、1階床上での火気を使用した作業時に、床コンクリート下の配管ピット内のガス濃度を測定せず、火気使用作業を行い火花が引火したことが、ガス爆発の直接的な原因と推測される。
・3月28日から4月1日の間に関係機関が現場確認を実施。その結果、消防署において火災(爆発火災)と認定。
・関係機関の指導を受け、施工者から再発防止策を提出済。
今回の事故を受けて、施工者において原因究明を行い、再発防止策として安全作業環境確保手順書の見直しを行いました。全ての作業前にガス濃度測定を行い、基準値以下となったことを確認し作業を開始しております。今後、この手順書に基づく作業を徹底します。手順書の概要は以下のとおりです。
(1)作業前のガス濃度測定の徹底
これまでも実施していた屋外に設置されている埋立ガス抜き管周りでのガス濃度測定に加え、屋内作業においては、埋立ガスの滞留のおそれがある個所(作業床付近、天井面付近、天井内空間、床下配管ピット内)でのガス濃度測定を徹底する。
(2)作業時の環境改善等の対策
床下の配管ピットは開放性を確保し、自然換気を常時実施する。また、屋内の作業エリア及び隣接エリアで適用基準値以上(※)の埋立ガス濃度が確認された場合は、送風機等による機械換気を実施する。機械換気後に再測定し、基準値未満であることを確認してから作業を開始する。
※メタンの基準値について、事故前は労働安全衛生規則を根拠に30%LELを採用していたが、今後は通常の火気使用作業について、より厳しく5%LELを設定する。「%LEL」とは、対象ガスの爆発下限濃度(LEL)を100%LELとした場合の濃度を表す単位。
・今回の事故原因はメタンで間違いないと思われる。
・再発防止策(安全作業環境確保手順書)については全体的に妥当。機械換気をするのであれば対策としてそれ以外考えられない。
・再発防止策を関係機関へ提出し、手続きを終えたため、火気を使用する作業を4月22日から再開済み。
・会期中の安全性を高めるため、GW工区内の建物についての対応策(換気設備の見直し等)について有識者の意見を聴取し、実施する。
・パビリオンワールド(PW)工区については、建設残土等で埋め立てられており、これまでの地表付近の濃度測定では埋立ガスは検出されておらず、地表付近における埋立ガスの発生の可能性が極めて低いと考えられるが、パビリオンワールド工区も含めて、万博会場内のガス濃度の測定を継続実施。
〈これまでの取り組み〉
1.埋立処分地での取り組み
大阪広域環境施設組合が埋立処分事業を行っている夢洲1区の処分場では、発生するメタンガス等について、ガス抜き施設を設置し、埋立地内にガスが滞留しないよう処理されている。
2.GW工区の施設整備における設計上の配慮について
GW工区の施設整備に当たっては、建物内へのガス侵入等の対策を行う計画となっている。
〇基礎下に防湿シートを敷設。
〇床下配管ピットがある建築物には自然換気用の配管設置。
3.GW工区の施設整備における施工者の埋立ガス対策について
事故前の施工者の取り組みは次のことを行ってきた。
〇上記1で設置されている屋外の埋立ガス抜き管周りでガス濃度測定を行う。
〇配管ピット内の作業時は、労働安全衛生法に基づき作業前に当該個所内のガス濃度測定を行う。なお、測定基準は労働安全衛生規則を根拠に30%LELを採用している。
〈機械換気の参考写真〉
〈夢洲1区・2区・3区エリア図〉