公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、21年1月に「未来社会における環境エネルギー検討委員会」を設置し、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で発信する未来社会における環境エネルギーの姿や、本万博において実証・実装を進める技術分野について検討を始めました。
3月10日に開催した第4回検討委員会では、万博会場内のカーボンニュートラル実現に向けて、導入を検討する技術・展示の分類や、検討委員会での今後の企業・団体へのヒアリング予定について、協会事務局から説明しました。委員からは、前述の分類における課題や今後のヒアリング企業・団体の候補などについて、幅広いご意見をいただきました。
さらに、カーボンニュートラル実現に貢献する個別技術として、帯水層蓄熱を利用した技術(※1)、水素活用技術などについて、関連企業・団体からの説明を踏まえた議論を行いました。
今後も引き続き、2025年より先の未来を感じさせる次世代技術の実証、2025年の万博にふさわしい先端技術の実装の実現を目指して検討を進めていきます。
※1 帯水層蓄熱を利用した技術とは、地下水を多く含む地層(帯水層)から熱エネルギーを採り出して、建物の冷房・暖房を効率的に行う技術のこと。
日時
2021年3月10日(水)10:00~12:00
場所
大阪府咲洲庁舎43階会議室(大阪市住之江区南港北1-14-16)及びオンライン会議
出席委員(座長以下、五十音順・敬称略)
座長 下田 吉之 (しもだ よしゆき) 大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻教授
委員 秋元 圭吾 (あきもと けいご) 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 システム研究グループ グループリーダー・主席研究員
委員 岩船 由美子(いわふね ゆみこ) 東京大学生産技術研究所特任教授
委員 竹内 純子 (たけうち すみこ) U3イノベーションズ合同会社代表
内容
■委員から示された主なご意見
- 今後のヒアリング企業・団体の候補について、主にはエネルギーが切り口になると思うが、それだけではなく、例えばサステナビリティという観点から水の循環や、アプリを活用することでゴミ拾いを市民参加型にする(のち、廃プラスチックをリサイクルする)などの取り組みをしているNPOや、面白い取り組みをしているスタートアップ企業もヒアリング候補に挙げても良いのではないか。
- 万博会場全体のエネルギーフローを考えたときに、大きな割合を占めるのは会場外から供給される電力だと思う。その際、再生可能エネルギーをはじめとした、CO2フリー電力をどこから調達してくるか、また、それをどのように見せるかという視点が必要ではないか。大量に供給される会場外からの電力ソースの選択、さらにそれをどのように見せるかという点についてもう少し議論があっても良いのではないか。
- 水素の利用も重要であるが、蓄熱の利用は国際的にも話題になっていると理解している。VRE(変動性再生可能エネルギー)(※2)の活用として、蓄熱を万博会場内でうまく活用できればと思う。
※2 VRE(変動性再生可能エネルギー)とは、Variable Renewable Energyの略で、太陽光発電や風力発電のような出力が変動する再生可能エネルギーのこと。 - 今後、電力の脱炭素化を図っていく際に、基本的に一次エネルギーは再生可能エネルギー、原子力発電、火力発電+CCS(二酸化炭素回収貯留)(※3)しかない。海外の再生可能エネルギーも活用するということであれば、余剰電力を水の電気分解により水素を製造、液化水素やメチルシクロヘキサン、アンモニア等に変換し、輸送して国内で活用することが、脱炭素化実現に向けたプロセスにおいては必須ではないか。
※3 CCS(二酸化炭素回収貯留)とは、Carbon Capture and Storageの略で、工場や発電所などから排出される二酸化炭素を大気放散する前に回収し、地下へ貯留する技術のこと。
参考
「未来社会における環境エネルギー検討委員会設置及び開催要綱」(2020年12月14日時点)
関連リンク
(プレスリリース)「未来社会における環境エネルギー検討委員会」を設置
(活動報告)第1回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第2回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第3回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
この記事をシェアする