公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、21年1月より「未来社会における環境エネルギー検討委員会」を設置し、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で発信する未来社会における環境エネルギーの姿や、本万博において実証・実装を進める技術分野について検討を行っています。
4月27日に開催した第7回検討委員会では、協会内でESMS(Event Sustainability Management System)(※1)の構築に関する検討を進めている旨、協会事務局から委員へ説明しました。委員からは、本委員会での検討の結果をとりまとめる上での考え方などについて、幅広いご意見をいただきました。また、カーボンニュートラル実現に貢献する個別技術として、クリーン燃料アンモニアの利用技術(※2)などについて、関連企業からの説明を踏まえた議論を行いました。
今後も引き続き、2025年より先の未来を感じさせる次世代技術の実証、2025年の万博にふさわしい先端技術の実装の実現を目指して検討を進めていきます。
※1 ESMS(Event Sustainability Management System)とは、国際社会と持続可能性に配慮したイベント運営をすること。ESMSについて一定水準の共通理解を構築するために策定された国際標準規格ISO20121では、温室効果ガスの排出量、廃棄物、リサイクル、周辺環境への影響、モビリティの形態、長期の社会的、経済的及び環境的影響など様々な要素の分析及び管理について規格化しています。
※2 クリーン燃料アンモニアの利用技術とは、燃焼してもCO2を排出しないアンモニアを燃料としての利用する技術のこと。
日時
2021年4月27日(火)10:00~12:00
場所
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 道修町オフィス(大阪市中央区道修町3-4-10)及びオンライン会議
出席委員(座長以下、五十音順・敬称略)
座長 下田 吉之 (しもだ よしゆき) 大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻教授
委員 秋元 圭吾 (あきもと けいご) 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 システム研究グループ グループリーダー・主席研究員
委員 岩船 由美子(いわふね ゆみこ) 東京大学生産技術研究所特任教授
内容
■委員から示された主なご意見
- ESMSは非常に重要な取り組みであると考える。万博のような大型イベントを実施するにあたって脱炭素や資源循環、人権や労働環境への配慮など様々な視点があることを理解し、持続可能性の枠組みの中でのカーボンニュートラルや、エネルギー対応を考えていく必要があると思う。慎重かつ精緻に論理を積み上げながら実際のCO2削減に繋げるとともに、CO2削減だけでなく、様々な視点での問題を同時に議論することが非常に重要。
- ESMSは大変重要な視点であり、どのように持続可能性を担保した万博にするかを考えると、最後にカーボン・オフセット(※3)で帳尻を合わせることは本質ではないのではないか。例えば、大阪・関西万博で設置された各種設備が将来にもわたって使える、その先の未来社会の基礎になる理解促進・実証・実装の取り組みをアピールすることが良いのではないか。
※3 カーボン・オフセットとは、CO2排出量の削減努力をした上で、それでも抑えられない部分を削減活動に資金を提供する(クレジットを購入する)ことで相殺する仕組みのこと。 - 多様な観点から持続可能性を考える点で、大阪・関西万博では、IT技術を使って会場にいなくても楽しめるプログラム(バーチャル万博)を用意していると聞いているが、会場に来ないことで移動にかかるCO2排出を抑えることができたかなど、新たな軸でも評価できるのではないか。
- アンモニアを燃料とした発電は、比較的安価にできる技術であるので、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた技術の一つとして現実的なのではないか。ただし、クリーン燃料アンモニアの供給量や、発電技術の見せ方については検討が必要であると思われる。
参考
「未来社会における環境エネルギー検討委員会設置及び開催要綱」(2020年12月14日時点)
関連リンク
(プレスリリース)「未来社会における環境エネルギー検討委員会」を設置
(活動報告)第1回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第2回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第3回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第4回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第5回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第6回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
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