公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、21年1月に「未来社会における環境エネルギー検討委員会」を設置し、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で発信する未来社会における環境エネルギーの姿や、本万博において実証・実装を進める技術分野について検討をしてきました。
5月27日に開催した第9回検討委員会では、第8回検討委員会に引き続いて、これまで本委員会で議論してきた内容を取りまとめるためのディスカッションを行いました。また、委員からは、本委員会での検討結果の今後の活用方法などについても、幅広いご意見をいただきました。
そのほかにも、カーボンニュートラル実現に貢献する個別技術として、CO2吸収型コンクリート(※)について、関連企業からの説明を踏まえた議論を行いました。
今後も引き続き、2025年より先の未来を感じさせる次世代技術の実証、2025年の万博にふさわしい先端技術の実装の実現を目指して検討を進めていきます。
※ CO2吸収型コンクリートとは、コンクリートを調合する際の薬剤として、CO2を吸収する材料を使うとともに、セメント使用量を減らし、製造時のCO2排出量も削減するコンクリートのこと。
日時
2021年5月27日(木)9:00~11:00
場所
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 道修町オフィス(大阪市中央区道修町3-4-10)及びオンライン会議
出席委員(座長以下、五十音順・敬称略)
座長 下田 吉之 (しもだ よしゆき) 大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻教授
委員 秋元 圭吾 (あきもと けいご) 公益財団法人地球環境産業技術研究機構 システム研究グループ グループリーダー・主席研究員
委員 岩船 由美子(いわふね ゆみこ) 東京大学生産技術研究所特任教授
内容
■委員から示された主なご意見
- 今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、“デザイン”について考える必要があるのではないか。本検討委員会の検討結果を万博のランドスケープを作る人、建築をする人、インフラを検討する人などデザイン分野の人たちに橋渡しすることで、最終的に万博会場への実証・実装に結びつくのではないか。
- 今回の大阪・関西万博は2025年に完成して、半年間だけ公開するものではなく、その前の段階から、どのような場所に、どのようなモノが、どういう思考・技術・コラボレーションで立ったのかというプロセス自体もオープンにし、コンテンツ化していくことが非常に大事だと思っている。本検討委員会での検討結果についても、わかりやすく示していくことが重要である。
- 一般的に環境配慮型の製品については、これまでは現状の製品と差異がない形でさらに環境にも配慮した製品を無理やり作りたい、という思いが非常に強かったと思う。しかし、通常の製品と環境に配慮した製品の差異をデメリットと捉えるのではなく、むしろその差異が美しいものであると発想を転換できるように示すこともできると良いのではないか。
- 通常、コンクリートは時間をかけてCO2を吸収するので、半年という短期間の万博では、コンクリート凝固時にCO2を吸収して固定する技術はCO2削減に有効であると考える。また、通常建物表面からしかCO2を吸収しないコンクリートが、凝固時にCO2を吸収することでさらに多くのCO2を吸収することができる点も有効。CO2吸収量については引き続き検証を行いながら、例えば、CO2吸収によって変化するpH(水素イオン濃度)を酸性、中性だと無色、アルカリ性だと赤色というように、フェノールフタレイン溶液を使って色の変化を見せるなど、来場者の理解促進の工夫も必要ではないか。
参考
「未来社会における環境エネルギー検討委員会設置及び開催要綱」(2020年12月14日時点)
関連リンク
(プレスリリース)「未来社会における環境エネルギー検討委員会」を設置
(活動報告)第1回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第2回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第3回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第4回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第5回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第6回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第7回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
(活動報告)第8回未来社会における環境エネルギー検討委員会を開催
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